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ブラック企業流 営業育成が上手くいかない唯一の理由

2019年06月17日

ジャイアント・キリングというマンガをご存じでしょうか?

週刊モーニングという雑誌で2007年6月から連載されているサッカーマンガで、主人公の達海 猛(たつみ たけし)が弱小クラブであるETU(イースト・トーキョー・ユナイテッド)を率いて番狂わせの大物喰い(ジャイアント・キリング)を起こしていくマンガです。

斬新な切り口とスタイリッシュかつコミカルな表現力が高い支持を得ており、歴代最高のサッカーマンガと噂されているようです。2010年にテレビアニメ化されていることからも、その人気の凄さを伺うことができます。

私は、このジャイアント・キリングというマンガを読んだことはないのですが、このマンガを題材としたある書籍を手にする機会がありました。ある方からの紹介だったのですが、「ジャイアント・キリングの流儀」という本を紹介してもらったのです。

正確な書籍の名称は『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』というものです。この書籍は、ジャイアント・キリングの主人公である達海 猛がチームに起こしていく混乱を取り上げ、それがいかにチーム作りとして理に適っているのかを語っているのです。中身を読むと、多少、強引なこじつけはあるにせよ、書いてある内容には非常に納得感がありました。

「なぜ、部下が思ったように動かないのか?」
「なぜ、右腕が思ったように育たないのか?」

このような事を考えるマネジャーや経営幹部は、世の中に多く存在すると思いますが、その答えがこの書籍には書いてあったのです。

部下を動かすためのキーワード

実は「部下が思ったように動かない」と考えるマネジャーや経営幹部には「あること」が不足していると言われています。

それが何かというと「理想」の共有です。

理想というのは、「あるべき姿」とも言い換えることができ、主には以下の

  • 「ミッション(理念)」
  • 「ビジョン」
  • 「ゴール(目標)」
  • 「価値基準」
  • 「行動規範」
  • 「方針(戦略)」
  • 「手法(戦術)」
  • 「指標(測定基準)」

などが該当します。

得てしてマネジャーや幹部は、チームのことや会社全体の事を考えているのは私だけと思っているのですが、そもそも自分が知っている情報自体(理想)を開示していないケースが多いのです。

部下が思ったように動くというのは、上司の考えていることを予測して動ける人材だと思いますが、「1」言って「2」「3」を理解できるレベルにならないと、そのようには認識にはなりません。

しかし、思ったように動かないと思っている上司が、会社の方針やあるべき姿を開示せずに、そのような動きを求めています。

部下に予測して動いてもらうためには、会社から何を求められているのか、どんな目標があるのか、それにどんな目的があるのかを説明することなしに、部下の予測力が上がる事を期待しているのです。部下が思ったように動く=予測力を上げる=理想の共有であり、その作業抜きにして「動けるようになれ!」というのはかなり無理な話なのです。

理想の中でも共有すべきもの

先程、理想=あるべき姿であり、そのあるべき姿として提示すべきいくつかの要素をご紹介しました。

弊社の支援でも「目標に焦点が合っているか」を推し量るために、目標を3秒以内にいう事ができるか?を試すことがあります。意外に、営業パーソンや営業マネジャーの中で、即答できない方々が多く、そもそも目標自体を認知していないのではないかと思うシーンが散見されます。

まずは追うべき指標を正しく認識していただく。それだけでも組織の力は違ってきますが、それだけでは物足りません。

ジャイアント・キリングを起こしていく最高の組織を作っていくには、それだけでは実現できないのです。ジャイアント・キリングを起こしていく最高の組織とは、サッカーチームでいうと互いの予測力が高いが故に、目の覚めるようなパスワークでゲーム展開できるチームです。

このような状態になれば、1つ1つの個の力は弱くとも、強豪を倒していく強力な組織ができあがります。

では、そのような組織にしていくためには何をしていけばよいのでしょうか?それを語るにあたって少し昔の話をしたいと思います。

数値だけのビジョン経営

私は、前職ではある有名なブラック企業に勤務していました。そのブラック企業は、ビジョン経営を得意としており3年後、5年後の数値目標を常に掲げていました。

その目標は常に経営陣から発信され、その数字を覚えていない社員はほぼ皆無でした。社員の総勢が2000名近くいる企業の一社員が、会社全体の目標数値を『確実に』覚えていたのです。

なぜなら、その数値を部長に質問された時に、答えることができなければ殺される勢いで詰められていたからです。冗談ではなく、本当に「殺される勢い」です。

本社勤務の人間はもっと大変だったと思います。

カリスマ社長が君臨する本社で、社長に今期の数字を質問され、答えることができなければ怒涛のごとく詰め倒された挙句、クビです。

遅刻した管理部長(10年近く勤め、数々の功績を残した部長)が、社長と運悪くエレベーターで鉢合わせになっただけでクビとなったぐらいですので、それぐらいの意思決定(クビ)は簡単に実行されます。
そのため、全社員が個人の様々な目標は当然のこと、全社の数字までしっかり把握していました。

単に目標だけではなく、

  • 「ビジョン」
  • 「価値基準」
  • 「行動規範」
  • 「方針(戦略)」
  • 「手法(戦術)」
  • 「指標(測定基準)」


が完全に頭に入っていました。理想の共有は、ほぼ完ぺきにできていたのです。

この営業組織は、恐ろしいぐらいの軍隊経営で相当な攻撃力を持っていたと思います。

その証拠に毎年のように増収増益で、企業規模は瞬く間に大きくなっていったのです。しかし、その組織では常に社員が疲弊し、毎年、数百名単位の退職者が出ていました。

なぜなら理想をほぼ完ぺきに共有している中で、唯一共有できていないものがあったからです。

ジャイアント・キリングを実現する組織

では、その理想とは何でしょうか?

「ビジョン」「ゴール(目標)」「価値基準」「行動規範」「方針(戦略)」「手法(戦術)」「指標(測定基準)」は見事に共有できていました。

しかし、唯一欠けていたものは「ミッション(理念)」です。何のために、その仕事をしているのかです。

建前上は「中小企業の経営をサポートする」というミッションですが、それを目指しているとは到底思えないような幹部の発言が横行していました。そして社員誰一人として、中小企業をサポートしているという感覚はなく、逆の感覚を持っていたと思います。よく目的意識の重要性を説くために3人のレンガ職人の話が例え話としてされることがあります。

  • レンガを積むためにレンガを積んでいる職人(目的なし)
  • 生活費を稼ぐためにレンガを積んでいる職人(目的は生活のため)
  • 歴史に残る大聖堂を作るためにレンガを積んでいる職人(目的は世の中への貢献)

同じ作業をしていても目的があるのとないのとでは、作業を持続させる力が違います。そしてその目的が心躍るような内容であれば、そのパワーは図りしれないものとなります。

予材管理で目標達成をあたり前にしていく。
その実現のために予材管理というメソッドを使いますが、その先に何があるのか・・・

その先のあるべき姿(ミッション)を社員に提示できてこそ、予材管理が「本当に」運用できている状態と言えます。

数字だけではない、あなたの組織のミッション・・・
是非、そのミッションを実現する道具として予材管理を使っていただきたいと思います。

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