予材管理の現場から 予材管理ブログ

Z世代と奇想天外な生態系から考える強い企業のニーズ発掘力


コンサルタントの水田です。

Z世代というのをご存じでしょうか?

ここ最近、ミレニアル世代という言葉を目にし、そのことについて語ることが多くなりました。
このミレニアル世代とは、デジタルネイティブ世代とも呼ばれ、今後の世の中を変えていく世代とも言われています。

そして、その感覚は就職氷河期世代で生きてきた私とは真逆の環境で育っているため、価値観に相当なギャップがあるようです。

そんなことを語っていると、こんな言葉を耳にしました。

「Z世代って知っていますか?」

Z世代?また新たな世代が台頭したのか?とはいえ、どうせ今の潮流に乗って勝手に世代を作り出しているのだろう……そう思っていると、このような話に続いていったのです。

「Zoom飲みとか、Skype飲みって知っていますか?」

(?????????)

「Z世代は、もう飲食店に行っている時間が無駄だと思って、ZoomやSkypeを通して飲み会をするらしいですよ」

(・・・・・・・・・・・)

この事実……驚愕でした。

飲み会というと直接会って楽しい時間を共にする……
同じ空間で、同じ時間を共有することが醍醐味であると感じていたのですが、Z世代にとっては、空間はネットを通してでも十分に共有できるという感覚なのです。

環境の変化に高い感度を持っていますか?

この事実を聞いてあることが思い浮かびました。

それであれば、これからの酒類メーカーはどのような販路を強化していくべきかです。

今後、Z世代のような飲み方が増えていくのであれば、強化していくべきは飲食店ではなくて量販店。
空間は共有しなくて良いという事なら、ひとり飲み人口が増えてくるのかもしれない。
そうなれば若者世代に人気のあるお酒を、量販店をターゲットとしながら展開していかないといけないかもしれない。

いや、そうではないか?

量販店ではなく、ネットでお酒を購入するのかもしれない。
そうなるとアマゾンへの営業が必要不可欠なのかもしれない。
そう考えると、アマゾンにツマミなどの関連商品も置くべきか?

いや、関連商品を置くのではなくひとり飲みセットとして置くべきかも?

こんな発想が湧いてくるかもしれません。

このように情報も知っているのと知っていないのとでは大きな違いです。

ニーズの変化をいち早くキャッチできているかできていないか、そしてその変化を重要と感じるか否かで、その後の戦略に大きな影響を与えます。

ちなみに私はここ最近いくつかの企業に対して研修を実施しましたが、この外部環境に対して営業パーソンが、いかに感度が低いのかを目の当たりにしました。

私「GAFAという言葉をご存知ですか?知っているという方、挙手ください」
会場「・・・・・・・・(誰も挙手しない)」

このような反応がここ最近、立て続けにあったのです。

「え?あんなに新聞紙上を賑わし書籍もいくつも出ているのに、言葉すら知らないの?」
これが営業現場の生の実態なのかもしれません。

そして私はこの外部環境への情報感度の低さに恐怖すら覚えたのです。

営業現場からニーズを拾い、それを新商品開発に活かす……そんな言葉はあるが、それって本当に実現できるのか?
こんな疑問すら湧いてきたのです。

外部環境の変化に気づく時間をつくる

そう考えると経営者は経営のかじ取りを現場からニーズが上がってこないなどと嘆いているのは、非常に危険な状態だと言えます。

今後の戦略はやはり経営者が考える、この視点を外してはならないと思います。

では、経営者はどのように外部環境の変化に敏感に気づくようにするのか?

それはまず、定期的に考える時間を設けるということです。
そして時間を確保したら改めて戦略のフレームワークに当てはめてみるという行為が1つの気づきになるでしょう。

例えば、プロダクトライフサイクルとPPM分析。

今、保有している事業がどのフェーズに該当するのか。導入期なのか成長期なのか、それとも成熟期なのか衰退期なのか?

そのライフサイクルを把握する上で、用いるべきフレームワークはPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)分析。

縦軸に「市場の成長率」、横軸に「相対的なマーケットシェア」。

市場の成長率が高いものの、まだまだシェアを確保できていない事業を『問題児』と言い、プロダクトライフサイクルで言うと『導入期』。
市場の成長率が高く、相対的なマーケットシェアが高いものを『スター』といい、『成長期』に該当します。
そして市場の成長率が低く、相対的なマーケットシェアが高いものを『金のなる木』と呼び、『成熟期』に該当します。
そして最後に市場の成長率が低く、相対的なマーケットシェアが低いものを『負け犬』と呼び、プロダクトライフサイクルでは『衰退期』というものに該当します。

このようなマトリックスに今の事業を整理した時に、どの事業が、どのタイミングの期にあたるのか?

意外に多くの企業は単一事業しか保有しておらず、それが成熟期に該当している……そんな状態が多いのではないかと思います。

ちなみに成熟期の戦略は、相対的なマーケットシェアは大きいため利益を残せる状態ではありますが、市場の成長率が低いので「投資は避けるべき事業」です。

それよりもこの既存の事業で潤沢に稼いでいる間に、どのような新しい事業を作り出していくのか。

その市場は成長率が高い必要性があり、成長率が高いからこそ投資するのです。

このようなPPM分析で、あなたの会社の事業を整理してみるとどうでしょうか?
実は既存のビジネスにしがみつき何もしていない、という企業が多いのではないかと思います。

予材管理の白地は上下から

この他にも外部環境を把握するためにPEST分析や業界分析を行う5F分析などもあります。

フレームワークに当てはめすぎることはよくないと言いますが、外部環境を整理する上では非常に便利なツールです。
また、そのフレームワークがあるからこそ、考えようという動機も生まれたりします。

このような外部環境を定期的に把握し、中長期的な白地を見つける。
そして外部環境の変化を読み解き、白地を発掘する。
中長期的な白地を経営陣が仕込みながらも、短期的な白地に関しては営業現場から創出する。

このような両側面からの白地発掘が予材管理をうまく機能させます。

もし、あなたが営業パーソンから白地がなかなか出てこないと嘆いているのであれば、それは少々危険なことです。

短期的な(今期の)白地予材については現場に任せつつも、中長期的な予材についてはあなたが考えて仕掛けていく。このような役割分担が強い営業組織を作るためには必要です。