予材管理の現場から 予材管理ブログ

全く買う気のない人に数十万の絵を売れますか?


予材管理クラウドサポートスタッフの北村です。

日々予材管理で仮説を考えていると、日常生活で出会う営業パーソンのアプローチ方法が気になったりしませんか?

私はいつも、「この営業パーソンはどのような切り口でアプローチをしてくるのだろう?」と考えながら話を聞いてしまいます。

おばさま販売員のスーパーセールストーク

先日、ある原画・版画の展示販売会に行った時も販売員さんのトークに注目してしまいました。

今回足を運んだきっかけは単純で、買い物をしていたデパートの特設会場でたまたま開催しているのを発見したからです。

絵に無頓着の私は、購入するつもりは全くなく、好きなキャラクターだったので興味本位、鑑賞目的で覗いてみたのですが、会場に入ると私のほかにも鑑賞目的で来ている様子の方も多く、安心して見て回ることができました。

展示されている絵の値段を見てみると、数十万円のものから百万円近くのものまで様々…。

会場内には何人もの販売員さんが待機しており、興味がありそうなお客様に声をかけ、絵の説明をしています。

その中で、営業感漂うおばさま販売員さんを発見。「どのようなトークをしているのだろう?」と気になり、耳をすませてトークを聞いてみました。

すると、私と同じく購入目的ではなく鑑賞目的で来ていた様子の20代後半くらいのカップルにアプローチをはじめます。

全く買う気のなさそうなカップルにどのようにアプローチするのだろう?と思い聞いていると、まず原画の魅力を伝えはじめました。

しかし、案の定カップルは話を聞いても興味を示しません。

カップル:「このキャラクターは好きですけど、こんなに高い絵は私たちにはちょっと…笑」

しかし、おばさま販売員さんが話の切り口を変えた瞬間に少し様子が変わったのです。

おばさま販売員:「ちなみに、2人はお付き合いしているの?」

カップル:「はい」

おばさま販売員:「あら、将来はもう約束してるの?」

カップル:「いや、してないです」

おばさま販売員:「あら、そうなの。でもそろそろなんじゃない?♡」

カップル:「…(笑ってごまかす)」

おばさま販売員:「彼氏!もたもたしてると、彼女を誰かに取られちゃうわよ~!笑」

彼氏:「そうですね~笑」

おばさま販売員:「ちなみに、婚約指輪の代わりに絵を送る人って結構いるのよ?知ってた?」

彼氏:「絵をですか?」

おばさま販売員:「そうよ!例えば、この絵くらいの金額の指輪を買ったとしても、これくらいのち――っさいダイヤの指輪しか買えないじゃない?(ダイヤの小ささを手で表現)でも絵ならこんなに立派なものが買えるし、ずっと楽しめる。この絵を一緒に見ながら年を重ねていこうねって意味を込めて指輪の代わりに贈るのよ!」

 

私は聞き耳を立てながら心の中で「その切り口できたか!」とワクワクしながら聞いていました。

すると彼氏がちょっと興味を示し始めます。

彼氏:「へ~!確かにそれもいいですね!」

おばさま販売員:「でしょ?彼女もこのキャラクター大好きみたいだし、おすすめよ!!」

それまで【数十万、百万する絵】に全く価値を見いだせていなかった彼氏が、おばさま販売員さんの【価値の提案】によって、「それなら買うのもありかも?」と価値を感じはじめたのです。

結局、彼女に「指輪の方が嬉しい」と言われ終わっていましたが、もしも彼女が興味を示していたら、今購入することはなくても、いつか購入することはあったかもしれません。

売れる営業パーソンは「価値の提案」ができる!

予材管理で白地の選定理由が書けずに悩んでいる営業パーソンの中には、「結局は金額次第だし…」と考えてしまう人が多くいらっしゃいます。

しかし、値下げをしなければ売れないとなると未来は不安ですよね。値下げをしなくても、売れるか否かが重要です。

同じ条件で値下げをしなくても売れる営業パーソンの特徴の1つは、【モノの提案】ではなく【価値の提案】ができている点です。

そのモノ自体を提案するのではなく、それを購入した時の価値を提案できるか否か。

先ほどの話でいえば、どんなに巧みなトークで絵の魅力を語ったとしても、彼氏の心は動かなかったと思います。
しかし、おばさま販売員さんが絵の魅力ではなく、その絵を買う価値を提案したことで「なるほど、それなら…」と考え始めました。

お客様が考えもしていなかった価値をいかに提案できるかもポイントです。

みなさまはお客様に【価値の提案】をできていますか?

モノの提案しか出来ずに悩んでいる方がいらっしゃったら、考える切り口を【価値の提案】に変えてみてください。きっと光が見えてくると思います。