予材管理の現場から 予材管理ブログ

人材採用が厳しい今こそ、経営陣が考えるべきこと

2018年11月12日

コンサルタントの酒井です。

採用難は、企業経営に突き付けられている大きな課題です。

厚生労働省のまとめでは、国内の有効求人倍率は2017年度1.54倍に達し、1973年度以来44年ぶりの高水準を記録しました。

2018年度に入っても4月1.59倍、5月1.60倍、6月1.62倍、7月8月1.63倍、9月1.64倍と上昇を続け、企業の人手不足感は高まる一方です。

このように求職者数に対して企業の求人数が多い、売り手市場が続くと、経営者の方からよくこんなお話をお聞きします。

「募集をしても、なかなか人が応募してこない」
「内定を出しても、よそに取られてしまう」
「せっかく採用したんだけど、期待以下で使い物にならなかった」

人材は企業にとって生命線。

今や、従業員の離職や採用難など人材不足による収益悪化で倒産する企業も全国で急増しています。2018年上半期は前年同期比4割増のハイペースとなっているようです。(参考:帝国データバンク 「人手不足倒産」の動向調査(2018年度上半期)

倒産までは行かずとも、ここ数年、採用がうまくいかなかったがために、経営計画が未達成となってしまったというお話を聞くことも少なくありません。

この文章を読んでいる方のなかにも、「人さえいれば…」と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 

人材不足でも採用を上手く進めるには?

私は、企業の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタントです。
営業コンサルティングの傍ら、人材業界で働いていた前職時代も含めて、採用のプロとして、これまで約1,000社の採用支援、3,000人の就職支援に携わってきました。

ここ最近も、売り手市場を受けて、採用に関するご相談、コンサルティングのご依頼が非常に増えています。
ここで、私が採用コンサルティング先企業のお話をご紹介しましょう。

この会社では将来を担う新卒社員を安定的に採用できる状態を目指し、再現性ある採用活動の仕組み構築を目的とし、2年ほど前からご支援をしています。

それまでリクルートやマイナビに代表される新卒募集サイトに掲載し、あとは応募を待つだけというスタイルだったのを一変させ、大学への訪問活動を積極的に実施するのはもちろんのこと、学生との初期接点から選考、内定出し、その後のフォローまでの採用プロセスを一つひとつ見直し、やるべきことをルール化することで、コンサルティング1年目から早々に採用目標人数を達成させることができました。

そしてご支援2年目の今年度も1年目の取り組みをベースに反省も踏まえ、採用活動を開始。順調に昨年を上回るペースで学生のエントリー数、選考人数を増加させることに成功しました。

しかし、、、ここから想定以上のことが起こり続けました。

それは、内定辞退者の続出です。

昨年度の内定辞退率が30%であったのに対し、今年度は60%にものぼり、内定辞退者数では3倍にも増加したのです。

まさか、ここまで内定辞退が続出するとは想定外でした。

それでも、目標を絶対達成させることが私の仕事ですから、期限からの逆算行動を設計し続け、結果、昨年の採用人数を1.3倍上回る採用人数を確保し、無事今年度の採用目標を達成させることができました。
 

内定辞退続出でも採用人数を確保できた理由

その要因はいくつもあります。
何よりこれまでの採用活動の工夫と改善の繰り返しにより、選考人数が増加したことが一番の要因ですが、実はもう一つ別の要因があります。

それは、採用基準を下げたということです。

詳しくは書けませんが、この企業の場合、就業にあたり将来的に技術資格取得が必須となる職種募集であるため、ある特定分野の学科卒であることが採用基準でした。

しかし、今回は特定分野以外の学科の学生もターゲットに広げました。

他にもあります。
チーム単位で遂行する業務が中心のため、チームスポーツ経験があるなど団体活動の経験がある学生を採用条件にしていました。

しかし、その条件も外しました。

本来、採用基準とは、現在活躍している社員の特性や、今後の事業展開を見越して必要となる人材像から設定されるものです。
一方、自社が求める採用基準を上回る人材を獲得するのは容易ではないのが現状でした。

そこで、採ったのが「採用基準を下げる」という策だったのです。
 

採用基準を下げなければ人を確保できない

このような話はもはや珍しいことではなくなっています。

2019年卒マイナビ企業新卒採用予定調査では、採用における「質・量の優先度」に関する調査結果として以下の発表をしています。

●「徹底して質」が大学(文系)で25.5%(前年比0.6pt減)、大学(理系)で23.4%(前年比0.1pt減)と、学部生の採用でいずれも前年より減少

●経年で見ると2011年卒を頂点に年々緩やかな減少傾向にあり、2002年卒以来最も低い

●「質よりは量」の割合も、この数年低いながらも増加する傾向

新卒採用競争が厳しい環境においても「量よりは質重視」という傾向に変わりはないものの、採用環境の厳しさを反映して、質の優先度を下げる企業も出てきていることが明らかになっているのです。
 

採用基準を下げて採用した新入社員をどう育てるか?

これまで設定していた採用条件を引き下げ、採用人数を確保した。

問題はここからです。
採用基準を下げたとしても、自社がお客様に提供する価値基準を引き下げるわけにはいきません。

これまでの価値を引き続き提供するのはあたりまえで、それ以上の価値提供をし続けることが企業の存亡に掛かってくることは言うまでもありません。

つまり、これまでより低い採用基準で入社した社員には、これまで以上に「教育」と「マネジメント」が必要だということになります。

ここで、ある営業コンサルティング先企業のお話をご紹介します。

約1年前から、営業組織改革に着手している企業です。当時、この企業の最大の悩みは、営業職の離職率の高さでした。

営業職社員が離職してしまう一番の理由はズバリ「売れないから」。

莫大な採用コストを投じて採用した人材が、すぐに辞めてしまうのですが、営業人材がいなければ成り立たないビジネスモデルである以上、人材は確保しなければなりません。

次第に採用基準は以前より下がり、採用しても売れないから辞める、また採用しても売れないから辞めるという悪循環に陥っている状況でした。

そこでコンサルティングをするうえで目指したのは、営業パーソン個人の能力に依拠せず、誰もが売れる営業スタイルの確立でした。

それまで、営業のやり方は完全に営業パーソンごとに任せていて、ほとんど誰も管理していないという状況でした。
定期的にキャンペーンなどの施策はあるものの、指示だけで進捗確認や状況を踏まえたうえでのマネジメントがほとんど機能していない状況だったのです。

結果、売れる営業は売れるし、売れない営業は売れない。そんな状態が起こっていたのです。

コンサルティングでは、全営業パーソンに対して、組織の一員として「決められたことをやり切るのは絶対のルール」という認識を揃え、徹底してやり切っていただくことからスタートしました。

当初は相当反発もありましたが、繰り返し必要性を訴え続けた結果、営業パーソンごとにやり方を任せていた状況が一変し、組織の一員として誰もが決められた行動ルールをやり切るのがあたりまえの状態となりました。

そして、やり切ったうえでその結果を検証し、また新たに行動ルールを改善するというPDCAサイクルが組織的に回り始めるようになりました。

これは、この企業の経営者の方がおっしゃった言葉です。

「売れない営業は辞めても仕方ない」
「辞めた分、売れる営業を採用しよう」
というスタンスでは、これからは戦っていけない。

これからの採用が難しい時代に生き残っていくためには、
「誰もが売れる当社の『売り方』を確立するしか他に道はない」

まさに、経営者のこの決断により、組織変革の歩みが始まったのです。
 

誰もが売れる仕組みこそ、予材管理

能力やスキルの差でなく、誰もがやるべきことをやりさえすれば、目標達成できる組織習慣を確立させていくことが、我々の営業組織改革の基本です。

そして、「営業パーソン個人の能力に依拠せず、誰もが売れる営業スタイルの確立」をするのに欠かせない道具が予材管理です。

採用環境は厳しさを増しています。
今までの採用基準では、自社に応募してくる人材はますます限られてきます。

そんな今だからこそ、これまでの営業パーソンの属人的なやり方を標準化し、目標達成をあたりまえにさせる「予材管理」のことをもっともっとみなさんには知っていただきたいと考えています。

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