予材管理の現場から 予材管理ブログ

誰を抜擢しますか?営業リーダーに適した人材の見極め方と育成方法


コンサルタントの小嶋です。

先日、以前お付き合いをしていた会社の社長から、人材の採用・人員の配置について、ご相談をいただきました。話を伺うと営業部門の中間管理職の方から退職の申し出があり、補充をしないといけないのだが、その役割を担える人材がおらず頭を悩ませているとのことでした。

実はこの話、あまり珍しいことではありません。
営業活動をしていると、社長や人事のご担当者から「昔は、リーダー候補が何人かいて計画的にポジションに配置することができたが、今は消去法で人選している」というお話をよく伺います。

目の前の仕事に追われ育てる体制が整っていない

営業の現場では、毎月の目標を達成させるために日々営業活動を行っておりますが、営業組織の体制として、余力がある人員配置をしているかというと必ずしもそうではありません。

年々上がっていく目標計画に対して、1人1人の営業力・生産性が求められる時代であり、同じ人員構成の中でより高い売上目標を達成していくことを求められています。

現場からは営業社員を増やしてほしいという声を上げても、なかなか補充がされない。また、補充をしたとしても営業活動が忙しく育てる環境が整っていない会社も多くあります。

弊社が実施した「日本の営業実態調査2019」において、管理職の方々がチームや部下に対して感じている問題として、部下の成長が遅いという回答が2位となりました。そんな中、営業社員の教育方法としては、「営業同行」や「面談」の回答が50%以上という結果となり、計画的な教育ではなく現場指導となっている実態も明らかになりました。

管理職の方々が部下に対して成長が遅いと感じる中、当の管理者が退職してしまっては、経営者・人事担当者が次のリーダーを選任するにあたり頭を悩ませてしまいますよね。

営業の延長戦に営業リーダーがいるわけではない

では、営業パーソンが育っている組織であれば、営業リーダーの選任は容易にできるものなのか?というと、そういうわけではありません

もちろん会社が営業リーダーに求める役割として、売上目標を達成させていくということは必ずついてくるものです。しかしながら、売上目標を達成させることにおいて、個人の売上目標を達成させることが役割として課せられていた営業パーソン時代から、営業リーダーになると、組織として売上目標を達成させることが役割となっていきます。営業パーソンと営業リーダーは役割が違うということです。

一般的に営業リーダーに求められる役割は以下になります。

・明確なビジョン・目標を示す
・目標の達成に向けて部下に動機づけする
・適切な指導、育成をする
・判断力
・定期的に評価・フィードバックを行う(成果に対して承認する)
・責任を取る
・模範となる(有言実行、言行一致)

営業パーソン時代に優れた成績を残した方を営業リーダーに昇格させる企業を多数みてきましたが、営業パーソン時代に上記の役割を網羅的に経験することはあまりありません。
後輩の指導・育成や自身のお客様・案件に対する責任を取ることはあっても、ビジョンや目標設定をすることや、重要な判断については上席が担うものです。

つまり、不測の事態があった時のためにも、リーダーを任せる人材は常に育てていないといけないのです。

営業リーダーに抜擢すべき人材とは?

では、どのような人材を営業リーダーに抜擢すると良いのでしょうか?

先述しました通り、営業パーソンと営業リーダーの役割は違い、営業パーソン時代にリーダーの役割を網羅的に経験することはあまりないということをお伝えしました。
一般的な営業リーダーの役割に加えて、会社として求める役割がある場合はなおのことかもしれません。

前回のブログで、営業リーダーを早期に育てるには、小さなプロジェクトを任せリーダーの役割を与えることだとお話しました。部署や支店単位での育成では、プロジェクトを任せる方法が有効的です。

ですが、そうは言ってもまだリーダー人材が育っていないという状況の中で、誰かを選任しないといけない時に誰を抜擢すると良いのでしょうか?

NLP関連の書籍を読んだことのある方なら、お聞きになったことがあると思いますが、アソシエイトとディソシエイトという言葉があります。

・アソシエイト・・・物事を主観的に見ている状態
・ディソシエイト・・・物事を客観的に見ている状態

アソシエイトとは、完全にのめり込んでいる状態で、視野が狭くなっている状態であり、客観的に自分を見ることができなくなっています。
反対に、ディソシエイトとは、自分とは距離を置いて、客観的に自分を見ている状態であり、冷静に判断ができる状態です。

営業リーダーになると、組織を成長させていくにあたり、「客観的に物事を見る」という視点が必要になっていきますので、このアソシエイトとディソシエイトができる人材をリーダーに抜擢することをお勧めします。

営業リーダーに抜擢してから育てていくには?

本来であれば人材を育成するにあたり、会社として取り組まないといけないことは、会社として求めるリーダーとはどのような人材なのか?営業リーダーにはどのような役割・能力・スキルを求めているのか?を明確にすることです。
そして、会社の売上計画や人員体制(人数・年齢構成など)を考えたときに、いつまでに・何名の次世代リーダーが必要になるのか?を選抜し、教育計画を立て育成していくことです。

ですが、理想と現実は違いますよね。教育計画を立て予定通りに育成ができていれば、どの会社も困ることはないはずです。

営業マネジメント手法である予材管理は、リーダー育成にもつながるフレームワークです。
見込み、仕掛り、白地の3つの予材を定量的に書き出すことで、目標と現状とのギャップを客観視できます。

このギャップを認識することで初めて、人間の脳は考え始めます。
人間はギャップを嫌うため、そのギャップを埋めようと考え始めるのです。

予材管理をすることで組織全体の目標と現状のギャップを客観的に捉えていくことで、ディソシエイトして考えるようなっていきます

なかなか次のリーダーが育っていない・今のリーダーも育てていかないといけないというときには、一度、予材管理の考え方を参考にしてみてはいかがでしょうか。

→ 営業リーダー育成に役立つ「予材管理」の資料ダウンロードはこちら