予材管理の現場から 予材管理ブログ

新規開拓が苦手……営業部の「新規開拓アレルギー」をなくす2つの切り口

コンサルタントの岩山です。

先日、ある企業の経営者とお話ししていた時のことです。

「会社の先行きを見越して新規事業を立ち上げたものの、非常に苦労している」

そう呟いておられました。

お話しを聞くと、社長が新たな事業を立ち上げたところまではよかったものの、その後を担う営業活動が思うように進んでいないとのこと。

というのも、営業部がこれまでおこなっていたのは、既存顧客に対するルートセールス。その営業活動において、目標を達成し続けられた背景には、これまで培った顧客基盤つまり「資産」があったからなのです。

「資産」が営業部の新規開拓力を弱くする?!

お客様から引き合いをいただいたり、大型案件のご相談が入ってきたのは、お声かけいただけるだけの関係性を、過去にお客様と築いてきたからです。それは、決算書や損益計算書上には直接現れない「資産」と言えます。

反面、そうした恵まれた状況が続くと営業部の営業力そのものが弱くなる傾向にあります。

なぜなら、ある程度待っていても引き合いをいただけるので待ちの姿勢が身につき、能動的に営業活動する機会が減るからです。

そのような会社が新規事業を立ち上げ、いざ新規開拓を行おうとすると、新規開拓に必要な基礎体力が落ちてしまっているので、「新規顧客を自ら取りに行けない」との事象が発生するのです。

部下は、新規開拓が得意ですか?

ここで、新規顧客と既存顧客の営業活動を比較してみましょう。

あなたが部下、とりわけ若手の営業を思い浮かべた際、「既存顧客への営業活動が苦手である」と問題意識を感じるでしょうか?

おそらく、自分の部下が既存顧客に対するセールスが苦手、と捉えることはほとんどないのではないでしょうか。
(「この若手社員は、“営業そのもの”が苦手」とマネジャーが思うなら、それはそもそも彼ら彼女らの採用時点か、あるいは部下育成上で問題が起きている可能性があります)

ですが興味深いことに、これが『新規開拓』になった途端、話が一転します。

つまり、「ウチの若手社員は、『新規開拓』ができない」「『新規顧客』を獲得するのが苦手なようだ」とマネジャーが急に口にするようになるのです。

新規開拓に苦手意識を持ちやすい理由

ではなぜ、部下は『新規開拓』が苦手意識を持つのでしょうか。

結論から言いましょう。新規開拓は、既存顧客に比べて成約率が低いからです。

ここで、一般的な営業のプロセスを分解して見てみます。

【電話】→【訪問(面談)】→【提案】→【見積】→【受注】

これらを振り返った際、既存顧客では、訪問したその場で受注フェーズまでに一気に行く可能性があります。

一方、『新規顧客』だとどうでしょうか?

【電話】口で断られ、【訪問】しても冷ややかに対応され、【提案】には耳を傾けてもらえず、【見積】なんてお出しできない。ましてや、その日のうちに【受注】に至るなんてほとんどありません。

言い換えると、お客様から「No」を突きつけられる回数・確率が、既存顧客と比較すると圧倒的に多い。

それが10件、20件、100件…と続くと、どうなるでしょうか。

部下がストレスを抱くようになります。

▼また新規の受注が取れなかった・・・
▼どうせ、新規顧客なんて獲得できない
▼こんな事なら、新規開拓なんてやらない方がいいのでは?
▼既存顧客のフォローだけでも忙しいから、新規は後回しにしよう

お客様から「お断り」される時間は一瞬でも、<度も頭の中で「断られた」シーンを反芻することで、部下はどんどん自信を喪失してしまいます。 その結果、「自分は、営業に向いていない」と結論付け、営業という仕事そのものに嫌気が差す。そうして、今のフィールドを離れる選択をする・・・そんな若手社員もいるのではないでしょうか。

新規開拓のストレスを最小化する! 2つの要素

近年の傾向として、「若者のストレス耐性が低くなっている」とのデータが実数値として出ています。

しかし、人口減少に伴う市場の縮小が回避できない中で、「新規開拓」をおこなわなければ、存続できない企業もあるでしょう。

したがって、まず新規開拓における、部下のストレスを最小化する状態を作り上げる必要があります。

新規開拓のストレスを軽減するには2つの要素が必要です。

1つは、あり方となる「新規開拓に向けたマインド・心構え」を身につけること。そしてもう1つは、やり方である「新規開拓で成果を出すための方法」を身につけることです。

1.新規開拓に向けたマインド・心構えを身につける

これは、マネジャーが古びた「気合いと根性論」を振りかざすだけでは何ともなりません。「いいからやれ!」が通用する時代でないことは、すでに皆さんご存知だと思います。

論理的に、若手社員が聞いても納得する形で新規開拓の心構えを伝えなければ、部下は「そもそもなぜ、新規開拓をおこなうのか?」「どうすれば、新規開拓に前向きに取り組めるのか」をいつまで経っても理解できません。

2.新規開拓で成果を出すための方法を身につける

マインドだけでは、新規開拓はなし得られません。

ですから、ファーストステップとしては、ターゲット先=【新規開拓で行くべき先】はどこなのか? を客観的にリストアップします。

次に、新規顧客の中における会うべき人を整理し、最終ゴールである受注に繋げるために、誰(=決裁権限者)までどうたどり着くのかの計画を練ります。

最後に既存顧客とは異なる、新規顧客獲得のためのアプローチ方法を習得した上で、営業活動に挑みます。

再現性のある新規開拓方法がストレスを軽減させる

そうした再現性のある「新規開拓のやり方」を身につけているからこそ、部下はストレスなく「新規開拓」に臨めるのです。

当社では、新規開拓における「基本のキ」が分かるセミナーを開催しております。
このセミナーでは、今回ご紹介した「新規開拓に向かうマインド」、そして「新規開拓で成果を出すための方法」をより具体的に学ぶことができます。

それらを元に、お客様から選んでいただくのではなく、「営業がお客様を選ぶ」。そうすることで、新規開拓においても成果を出し、部下の苦手意識を払拭していってくださいね!