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中小企業でも知名度がなくても、いい人財が採用できる成功戦略

採用コンサルタントの酒井です。

採用に関するご相談を受けると、以下のような声をよくお聞きします。

「知名度がないから採用できない」
「中小企業だから採用できない」
「育てるノウハウがないから、中途しか採れない」

そもそも応募がわずかしかないため、「応募してきた中から選ぶ」というより、「目の前の人に決めるしかない」、そんなお話もお聞きします。

言うまでもなく、企業にとって最も重要な資産は人財。

優れたビジネスモデルや戦略を作ったとしても、それを動かす人財がいなければ、成果を生み出すことはできません。

それどころか間違った人を採用してしまうと、人件費がどんどん膨れ上がるなど直接の影響はもちろん、今まで必要のなかったマネジメントが必要になるなど間接的に影響が出ます。間違った人を採用すると、経営に負の影響を及ぼすのです。

では、中小企業はどのようにすれば、重要な資産である人財を採用することができるでしょうか?


 

知名度の低い中小企業でも採用を成功させる戦略とは

採用における「成功」とは、「採用基準を上回る人財を採用すること」を指します。
採用基準を下げて人数を確保しても、企業経営にはプラスにはなりません。

そして「戦略」とは、「その成功から逆算して行動するためのシナリオ」のことです。
この反対は、「なりゆきまかせに行動すること」です。

いかがですか?皆さまの会社では、なりゆきまかせの採用活動を行っていませんか?
 

採用基準を上回る人財を採用するために最初にやるべきこと

採用基準を上回る人財を採用するシナリオ作りにおいて、一番目にやるべきことは、採用基準を決めるということです。

どういう人を採用するべきか、その基準を決めることが最初のステップです。

しかしながら、これをちゃんとやっている企業はあまり多くありません。

それは、採用基準を言語化するという作業自体がなかなか難しいというのがひとつの理由です。

営業がお客様を獲得するためにやることは、まず自社のお客様を定義することからです。
自社の商品やサービスを喜んで購入してくれるお客様はどんなお客様なのだろうかと考えるプロセスです。

考える方法はたくさんありますが、その一つに現在の既存顧客から抽象度を上げて分析するというやり方です。

例えば、ある商品をリピート購入し続けているお客様Aさんがいらっしゃるとします。

今後さらに多くのお客様に購入していきたいときに持つべき視点は、「なぜAさんはこの商品を購入し続けてくれるんだろう」という視点です。

この理由が「○○に困っていて、役に立っているから」という理由だと分かったとしたら、そのニーズを持っている対象に対して、商品の存在を知ってもらい、興味を持ってもらう活動(マーケティング、営業活動)を行うことが一番の近道です。

その対象の属性を分析することが、その商品を購入するポテンシャルを分析するということです。
 

採用基準を明確にする「人財ポテンシャル分析」

では、これを採用基準に転用すると、どうなるでしょうか?

それは「自社で活躍している人財を定義する」ということです。
自社で活躍しているスタッフはどんな人たちなのだろうかと考えるということです。

・どんな要素があるから自社で活躍できるのか?
・どんな要素があるからお客様に評価されているのか?
・その要素は入社時点で備わっていた要素だったのか?入社後に身につけた要素なのか?(先天的か?後天的か?)

このように、その活躍している人財の属性を分析することが、自社で活躍するポテンシャルを分析するということです。
私は、この分析を「人財ポテンシャル分析」と呼んでいます。

さらに活躍するための分析には、以下のような分析も必要です。

・なぜ自社で働き続けているのだろうか?
・自社で働くことで得られている喜びとはなんだろうか?
・どんなときに、やりがいや働きがいを感じているのだろうか?

これは活躍している人財がどんな価値観を持っているのかという分析です。

価値観まで分析する理由は、採用においては、「価値観のマッチング」がとても重要だからです。

能力やスペックが優れている面のみを見て採用すると、いずれ歪みが生じます。

「考え方が合わない」
「目指している方向性が違う気がする」

働くにつれて、このようにお客様に提供することの価値観が合わないことに直面すると、スタッフにとってはストレスしか感じなくなります。

ですから、長く活躍している今いるスタッフの価値観の分析をすることはとても有用です。

その価値観を採用活動(広報、説明会、面接等)で伝えることで、そこに共感する人は採用基準に合致していると言えるからです。
 

採用活動の本質

企業が採用するということは、目の前の学生や求職者の人生を「預かる」ということに他なりません。

そのため、採用活動とは、「学生や求職者の人生の目的を知ったうえで、自社に入社することで得られる価値を伝える活動」でなければなりません。

選考プロセスのなかで、相手の人生の目的を知り、自社に入社することでそれが実現できる可能性を伝えることが採用活動です。

そのためには、まず

「自社がどんな目的で経営活動をしているのか」
「スタッフたちがどんな価値観を持っているのか」
「なぜ自社はお客様から選ばれているのか」
「これからさらにどのような価値をお客様に提供しようとしているのか」

を整理し、発信することが必要です。

世の中に存在する求人はこの部分が抜け落ちているため、どの会社の求人も似たり寄ったりの内容になっています。

しかし、似たり寄ったりの会社など存在しません。
ですから、ぜひ自社の価値観、働く人の価値観を伝えるということを実践してください。

そうすることで、その価値観に共感、共鳴する人を集めることができます。

そのうえで、企業側が求職者のことを理解する姿勢を持ち、信頼関係を築いていくプロセスの最後に得られるのが「入社」という結果です。

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