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パワハラが定義された今、部下育成で注意すべき3つの要素

コンサルタントの山北です。

2019年5月21日。
皆さまはこの日に何があったか、覚えていらっしゃいますか。

この日、来春から企業に改正労働施策総合推進法を義務付ける前段階として行政によってパワハラが定義づけられました。

「パワーハラスメントとは、優越的な関係を背景にした言動で業務上必要な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されること」

今回は罰則を伴う禁止規定は見送られたものの、今後更にパワハラの法的規制が厳しく設定される事が予想されます。

その一方で「ハラスメントハラスメント」という言葉が生まれるような実態もあり、業務上必要な指導を行ったにもかかわらず、部下の方が上司に「パワハラで訴えますよ」と脅しをかけるような事例も発生しています。

そのため、多くのマネジャーの方から「私の指導はパワハラにならないでしょうか?」と相談を受ける事も増えています。

実際、上司の方が過敏に反応して適切な部下指導を行えなかった結果、組織が機能不全に陥るケースも発生しています。

成果を出すために必要な行動指示や指摘までパワハラだと言われてしまうと、その後上司は何も言えなくなってしまい、組織改善が進まなくなってしまいます。

 

パワハラを回避する3つのマネジメントポイント

では、パワハラと言われずに組織を運営し成果を出していくには、どんなマネジメントが必要になるのでしょうか。

そのためには3つの要素がポイントになります。

1.出来ない理由のない行動で指示する

部下に指示する際に出来ない理由がある事を指示しても実行する事ができません。

出来ない要因がある事を求められて、出来ない場合に指摘されると葛藤と苦しみは大きくなります。

そのため、出来ない理由をない行動で指示することで、部下への指摘が問題に発展する可能性は低くなります。

一般的に出来ない理由は次の3つに分解できます。

・やり方がわからない、
・スキルがない
・時間がない

この3つをあらかじめ排除し部下に指示をする。
その上で「やらなかったこと」を事実をして指摘することで、部下自身も自責と捉えやすくなります。

 

2.OK.NGの明確化とフィードバック

指示した行動の内容がどうなっていれば、OKでどうなっているとNGなのか、OKの場合どのように評価され、NGの場合にはどのような指摘や注意をされるのか、あらかじめ明確化します。

このプロセスを踏むことで、指示された事が出来なかった場合にどうなるかを認識しているため、問題に発展しにくくなります。


 

3.あらかじめ合意形成をとる

部下とやらなければならない行動について、合意形成を取っておくことです。

やろうと思えばできる行動を設定し、どのような結果を出さなければならないか、そして出来なかった場合には、どのような指導を受けるのか、その全てをあらかじめ共有して、合意をとる必要があります。

指導・指摘内容を含めて合意形成した上でイレギュラーを除いた指示と約束を守れなかった場合に、あらかじめ合意した指導・注意を行っても相手は自責だと捉えやすく問題に発展しにくくなります。

 

マネジャーの役割は組織で成果を出すこと

以上、3つの要素を取り入れて指導すれば、パワハラだと認識されずに指導する事ができます。

当然、上のプロセスを守っても基準を超えた指示や注意をしている場合は、問題に発展します。

しかし、必要な指導や指摘が出来ないのであれば、マネジャーが組織の責任を果たす事は出来ません。

マネジャーには、組織に与えられた役割を果たす責任がありますから、組織のメンバーに対して指示と指摘をする権限が本来与えられています。

今回の法律改定の目的は、マネジャーが必要な権限を使えなくなり責任を果たせないようになるための法律改定ではありません。

あくまでも不適切な職場環境をなくすための法律改定です。

上司は自分を守り組織の役割も果たすためにも、パワハラの問題に発展しないよう3つの要素を意識して組織をコントロールするマネジメントを展開してくださいね。