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なぜSFA(営業支援システム)は企業に定着しないのか?

2018年10月15日

SFAは素晴らしいシステムなのだが……

「なぜSFAは日本企業に定着しないのか?」「どうしてSFAを使っても営業の生産性があがらないのか?」などのキーワードでネット検索すると、だいたいSFAベンダーのサイトが上位表示されます。

つまり、定着しない(生産性が上がらない・目標が達成しない)のは、SFA選びに問題があり、その問題を解決するためには当社のSFAを選んだほうがいい、と結論づけたいがための記事です。したがって、記事を読んだ人の大半が「なんだ、売り込みか」とがっかりすることでしょう。

しかし私はSFAを紹介してフィーを稼いでいる営業コンサルタントではありません。SFAを中立的な立場で評価できます。

何より、日立製作所時代、SFAを設計開発し、自分で導入コンサルティングしたり、名高いSFAベンダーともお付き合いさせていただいた過去を振り返って断言します。

SFAは投資対効果が低い。――と。

もちろん、うまく活用し、成果を出している企業も多いです。しかし、(たぶんご存知の方も多いと思いますが)、これほど定着率の低い情報システムは世の中になかなかないでしょう。

また営業日報の替わりにSFAを使っているという企業もありますが、それで定着したとは言えません。本来SFAはもっと高度な成果を企業にもたらせてくれるからです。

さらに残念なことに、問題はSFAにあるのではなく組織にあるのです。組織の問題を解決しない限り、SFA導入はお勧めできないのです。

 

SFAに求める成果とは?

SFAはそれなりに高額です。(リーズナブルなSFAは決してお勧めしません)

使えば使うほど経済的コストがかかりますから、導入するのであれば経営者はSFAに大きな期待を寄せます。その経営者がSFAに求めることのはひとつだけ。

「営業の生産性」を高めることです。

より少ないコストで、より多くのリターンを得ることを企業経営者はSFAに求めています。もちろんコストは時間的コストや経済的コストだけではありません。若い営業の人財育成のための労力コストや、見込み顧客を探す労力という名のコストも含まれます。

いろいろなコストを削減し、利益率の高い商談を、高いコンバージョン率でクローズする手助けをSFAはしてくれます。

こんなに素晴らしい効能があるシステムなのに……なぜ、これほどまでにSFA(営業支援システム)は定着率が低く、期待どおりの成果を出せないのか。

その原因を私の現場経験をもとに、解説していきます。

 

SFA活用までの3つのプロセス

SFAは代替不可能な、優れたシステムです。SFAが導入されなければ、できない業務・分析が多々あります。

しかし、その優れた機能を活用しなければ、経営者が期待する通りの成果を手にすることはできません。

SFAを導入し、本来の目的を果たすためには、以下3つの段階があります。


1)定着
2)試行錯誤
3)安定運用

この3つのプロセスを頭に入れて、以下の解説を読んでくださいね。

 

定着までのプロセス

まずSFAを導入すると、日々の入力作業、そのための時間確保、データベースを綺麗に保つための正確な名刺入力、名寄せ作業……など、現場にかかるストレスや作業時間は、確実に増えます。

第一の問題は、これらの面倒な作業を組織に定着させることです。

「組織への定着」=「個人への定着の集合」ですから、一筋縄ではいきません。

営業という仕事はモノづくりと異なり、成果を出すまでのプロセスに「不確実性」の高い要素が多分に含まれます。営業に「勝利の方程式」のようなものはなく、「やらないよりやったほうがいい」ことをいかに愚直に続けるか、が求められる仕事です。

そのため、交通費精算システムを使わないと、交通費の清算はされませんが、SFA(営業支援システム)を使わないと営業成績が伸びないかというと、そうでもないのです。

少なくともSFAを使ったらすぐに成果が出たり、業務が効率化することなどありません。しばらくは面倒な作業が増えるだけですから、現場の担当者が納得して、すぐに入力することはまずありません。

したがって、継続した経営トップの強いメッセージが必要です。現場任せでSFAが定着することなどない、と考えましょう。

営業の意識の高さ/低さの問題ではありません。自主的に入力し、活用されることを営業組織に期待するのは酷です。

 

試行錯誤するプロセス

先述したとおり、SFAは交通費精算システムと異なり、導入されたらすぐに使えるものではありません。

まずSFAにお客様や日々の商談データを入力しなければ、活用できません。
それにSFAは組織営業力を高めるツールです。

個人の営業生産性をアップさせる仕組みではないため、データを入力する人と、しない人がいるようだと、正しく情報共有がされず、SFAは真価を発揮できません。

つまりSFAを活用するためには、まず「営業全員が正しいデータを入力する」文化を築くことが第一です。

ところが、SFAへの入力作業が定着しても、そのデータを活用して成果を出せるかどうかは二の次です。

SFAは導入時点で完成されてはいないのです。

運用を始めてから、営業シナリオであったり、共有すべきデータ、分析するためのパラメーターを随時メンテナンスして育てていくものです。

したがっていったんは定着したものの、安定運用できるまで、試行錯誤するプロセスが一定期間必要なのです。

このことを多くのSFAベンダーの営業は教えてくれません。ヒドイ営業は、「SFAを導入すればすぐに営業生産性がアップする/組織の目標が達成する」などとうまい話をします。

すでに定着し、安定運用しているSFAベンダーに入社した若い営業は、その状態になるまでに苦労した現場体験が欠けています。

ですから、お客様から「当社でもうまくSFAを使いこなせますかね」と質問されたらその営業は「絶対大丈夫です」と即答することでしょう。ご自身が試行錯誤したプロセスを体験していないからです。

 

安定運用するプロセス

成果を出すために必要なデータならいいのですが、「マネジャーが知りたいから」という理由で、SFAにデータを入力させようとすると、間違いなくうまくいきません。

活用されないデータを毎日のように入力させられる営業は、確実にモチベーションダウンします。

ですから試行錯誤のプロセスが大事なのです。

試行錯誤のプロセスを経れば、必ず入力すべきデータ、分析に必要なパラメーターはシンプルになっていきます。どんなに多機能なSFAを導入しても、使うのはごく一部の機能だけ。会議もそう。ツールもそう。

どんな仕組みも、シンプルでなければ正しいマネジメントはできません。複雑にしてしまうと、マネジメントのためのマネジメントになってしまい、「生産性を上げる」という本来のリターンを得られなくなります。

無駄なシナリオ、無駄なレポート、無駄な分析……を減らしていくことで、日々入力すべきデータや、設定すべきパラメーターもシンプルになり、安定運用が可能になります。

 

SFAは定着するまでに必要なコストが高すぎる

情報システムは、「導入すれば、あとは何とかなる」というものと、SFAのように「成果が出るまでトコトン創意工夫すべき」ものの2種類があります。

SFAベンダーは成果が出るまで伴走してくれません。問い合わせてもシステムの機能を説明してくれるだけであったり、研修や勉強会への参加を促すだけで、結局は現場任せです。

先述したとおり、SFAは素晴らしいシステムです。高度なリターンを企業にもたらすことは確実です。

ただしSFAを正しく使いこなすまでに必要な労力や時間(試行錯誤するプロセス含めて)コストが、大きすぎるのが難点。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。

現場に入るとSFAがすでに導入されている企業が多々ありますが、専門家として、キチンと使いこなしている企業はほぼゼロです。

それぐらいのことしかSFAでやらないのなら、もっと簡易システムでいい、表計算ソフトでも成果は出る、と言いたくなる企業ばかりです。

ひとつの判断材料として覚えてもらいたいのは「組織改革」です。

SFAの導入を機に、すべての仕事のやり方をリセットし、組織を改革するぐらいのリーダーシップをとれる人がいれば成功するでしょう。

SFAは単なるツールです。SFAが勝手に営業組織を変えてくれるわけではありませんので、導入組織にはそれなりの覚悟が必要です。
 

SFAと予材管理

当社が開発した、目標を絶対達成させるマネジメント手法「予材管理」は、表計算ソフトを使ってもできます。
※参考:予材管理シート無料ダウンロード

しかし、支援先のクライアント企業には予材管理クラウドの導入を義務付けています。遠隔で、お客様の予材の状態を知った上で、ご指導させていただくためです。

予材管理クラウドはきわめてシンプルなシステムです。SFAのような、複雑で高度な分析機能は搭載していません。SFAを知り尽くした私だから、このようなシステムを作ることができたと自負しています。

予材管理クラウドはコンサルティングするためのツールです。したがって、単体での販売はしていません。たまに「SFA的な使い方をしたい」と言われるお客様がありますが、そのニーズにはお答えしません。

先述したような「マネジメントのためのマネジメントをしたい」という意図が透けて見えるからです。

私たちの目的は、あくまでもお客様の営業組織を安定的に目標を達成させる組織に変革することです。システムの販売や定着、活用ではないのです。

システムはあくまでも方法論を補うものでなければなりません。どのような方法で営業の生産性を上げるのか、目標を達成させるのか。

その方法を確立してから、必要なツール選びをお勧めします。そうでないと、システムを使う組織ではなく、システムに使われる組織になってしまうからです。

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