予材管理の現場から 予材管理ブログ

SFA(営業支援システム)を導入する前に営業たちが話し合っておくこと

SFA(営業支援システム)と組織マネジメント

私は日立製作所時代、オリジナルSFAの設計開発・導入支援に関わっていました。そして大手SFAベンダーとも昔からお付き合いが深い。ですから、SFAを使って成果を出すにはどうすればいいか、かなり細かい見識を持っています。

(私どもは、どのSFAベンダーとの代理店契約を結んでおりません。「中立」の立場の営業コンサルタントだからこそ言えることがあります)

以前、「なぜSFA(営業支援システム)は企業に定着しないのか?」の記事で触れた「一次情報」と「二次情報」の定義を示したうえで、「一次情報」をもって仮説を立ててから、仮説の精度を上げるため部下にヒアリングして「二次情報」をとりにいくプロセス。これがマネジメントの基本です。

「一次情報」がないのに、個人の先入観が入った「二次情報」をどれほど蓄積しても、正しい組織の問題を把握できませんし、効果的な解決策は思い浮かびません。

SFAが蓄積する情報をどう活用し、組織マネジメントをするのか、具体的なイメージを最初に持っておくことは大事です。

SFAで入力する情報は本当に必要か?

昔と異なり、スローガン的に「生産性を上げていこう」と言っていればいい時代ではなくなりました。

超人材不足の時代に働き方改革法案が成立し、すでに「総労働量」の枠は決まっています。一人当たりの労働時間は増えるどころか、減らさなくてはなりませんし、人手も増えないのですから、企業の「総労働量」に柔軟性がなくなっています。

ですから「あったらあったで、役立つ情報」をSFAに入力するのはやめましょう。

洋服でもそうです。「あったらあったで、いつかは着る」という服は捨てるか、フリマで売る時代です。モノを持たない時代になって久しい。企業活動においても、「なくてはならないもの」以外は断捨離すべきです。

名刺の登録作業がどれほど大変か

SFAは顧客データベースを中核に置いていますから、お客様と名刺交換をしたら、名寄せ作業をして正しくデータ格納します。

このとき注意すべきは「正しく」という部分です。お客様の情報を正しく整理し、格納することが、どれほど手間がかかることか想像できるでしょうか。

この作業を一人の専任担当者がするのならともかく、ひとりひとりの営業が名刺交換をするたびにするのです。OCRといった文字や画像認識機能が搭載されたツールを使っても、面倒であることに変わりありません。

SFAを導入する目的は、営業の生産性を上げることです。労働時間を短縮し、より高い成果をだすことが期待されます。
しかしSFAを導入して組織に定着化させるためには、この日々の名刺入力作業がどれほど手間がかかるのか。そして営業ひとりひとりに確実にさせられるのか。必ず事前にチェックしておきましょう。

導入してからそのような説明会を催すと、ほぼ間違いなく営業から反発が起こります。生産性を上げるはずのツールであるはずなのに、日々の手間が増えるからです。

私たちが提唱する予材管理をする場合、目標の2倍の予材を常にキープしておかなければなりません。したがって常に新しいお客様と接触し、予材を増やす行動が必要です。

しかし、名刺交換するたびににSFAへの登録作業が発生するとわかると、営業の新規開拓する意欲が減ります。

「予材は増やしたいが、当社にはSFAがあるので、その都度作業が増える」
このように、私たちは愚痴を聞かされます。

SFAはとても便利なツールです。しかし、徹底して使いこなす自信がないなら導入しても宝の持ち腐れです。

お客様の情報を蓄積しない限り、日々の商談データを記録できませんので、使いものにならない。SFAを導入する前に、この作業をどのように実現するのか。営業組織の中でしっかり話し合っておくことが重要です。