組織体制の作り方~会社の競争力を強化する営業の体制構築法

組織体制構築

営業部が戦略やマーケティングまで担う企業もあれば、営業企画部が営業戦略を立てるなど、どこまでを営業組織で担うかは様々です。

マーケティング部が営業部と別で存在する企業では、営業部が思うように動いてくれずマーケティング部がヤキモキしたり、「お客様の生の声を拾ってくれない」と営業部が不満を募らせ犬猿の仲になっている…というケースも存在します。組織体制を見直し、マーケティングと営業を上手く連携させたい経営者も多いのではないでしょうか。

今回は、MLMを使った会社の営業力を強化する組織体制の作り方をご紹介します。


組織体制を強化するマーケティング・リーダーシップ・マネジメント

MLM(マーケティング・リーダーシップ・マネジメント)とは、マーケティング戦略を司るセクションが強いリーダーシップを発揮して、全体をマネジメントするという組織体制の考え方です。

MLM(マーケティング・リーダーシップ・マネジメント)では、マーケティングと営業は独立した組織として設置します。それぞれの部署の役割と責任を明確に分け、専念して取り組めるような組織体制を構築していきます。


3つの役割で組織体制を構築する

MLM(マーケティング・リーダーシップ・マネジメント)では、会社組織を「経営セクション」「マーケティングセクション」「営業セクション」の3つに分けて組織体制を作ります。

経営セクションの役割

経営セクションでは、会社全体や未来に関わる意思決定を行うセクションです。

具体的には、

・事業の決定
・資金配分の決定
・人材配置の決定
の3つを担い、中期経営計画や事業計画などの経営計画を作成し、社内に向け発信していきます。
→ 【5ステップ】中期経営計画の作り方はこちら


マーケティングセクションの役割

マーケティングセクションでは、経営セクションが作成した経営目標を達成するための営業戦略と行動計画を立てていきます。

また、営業現場の状況をリアルタイムに受け取り、営業担当者を随時メンテナンスしたり、お客様の状況や予材状況に応じた顧客戦略を立てたり、営業セクションへのアドバイスを実施します。


営業セクションの役割

営業セクションは、マーケティングセクションが立てた行動計画を現場で遂行するいわば実行部隊です。売上を上げるため、お客様に適した戦術を選んで営業活動を実施していきます。

多くの会社では、営業目標に対するすべての負担(営業戦略立案・マーケティング戦略立案などの創造負担と立てた戦略を実行し売上に貢献する責任負担)を営業が担っています。創造負担が大きければ大きいほど、会議や資料作成などに時間が取られ営業活動をする時間が少なくなります。

営業時間を確保するため日中はお客様を訪問し、帰社後に会議や資料作成をしている営業担当者も少なくありません。しかし、生産性の改善・残業時間の削減が叫ばれる昨今、いつまでもこのようなスタイルでは、社員が離れていく・営業を採用できない……ということにもなりかねません。

MLM(マーケティング・リーダーシップ・マネジメント)で営業セクションの負担をマーケティングセクションに移管し、営業セクションが営業活動に集中できる組織体制を作ることが、生産性向上と売上目標達成を両立する上で重要になっていきます。


MLMで営業組織体制を構築するメリット

1.営業組織の負担を分散

営業担当者の役割は、経営者がつくった事業目標(売上目標・営業目標)を達成することです。事業目標を達成するには、営業担当者はできる限り営業活動に時間を割くのが理想的です。

しかし、資料作りや会議、メール対応など営業活動以外に時間が取られ、優先すべき営業活動(お客様の訪問や提案の推敲など)に時間や労力を注げていないのが現実です。

そこでMLM(マーケティング・リーダーシップ・マネジメント)では、営業組織が担っている「創造」の役割をマーケティングセクションに移管します。そうすることで、営業組織はどうやって数字を作るかの「戦術」に集中できます。

営業組織が「責任」と「創造」の全てを担当するのではなく、決められたこと・与えられた役割を実施することで、営業担当者はお客様との関係構築や個人のスキルアップに全力で取り組むことができるようになります。


2.営業の「行動のムダ」がなくなる

MLM(マーケティング・リーダーシップ・マネジメント)では、マーケティングセクションが営業担当者の行動計画を作成します。

営業担当者が行動計画やお客様を選定しているケースでは、担当エリアの重複が発生したり、自分の行きやすいお客様ばかりを訪問したり、自分のよく知らない商品は案内しないということも少なくありません。

また予材を増やす戦略は、基本的にマーケティングセクションが考えます。お客様の状況に応じた戦略もマーケティングセクションがアドバイスします。これは野球やサッカーなどのスポーツと同じで、戦略は監督であるマーケティングセクションが担い、ピッチで戦う戦術(個人のコミュニケーション力、引き出しの多さ、臨機応変に対応するスキルなど)は選手である各営業担当者がカバーしていきます。


組織体制構築の4ステップ

1.経営が「MLM」で組織体制を作る宣言する

まず経営セクションが営業組織に対し、MLM(マーケティング・リーダーシップ・マネジメント)を採用することを宣言します。

既にマーケティング部門が営業組織とは別に存在する会社では、「マーケティング部に指図されるのは嫌だ」と営業組織から強い反発があったり、「当社にはすでにマーケティング部があるから」となんとなくMLMを開始する会社もいらっしゃいます。

このような会社では、MLMで組織体制をつくっても上手くいかない可能性が高いです。そうならないためにも、MLMを開始する前に必ず組織に対し、MLMを採用すること、そして各セクションの役割と責任を明確に伝えることが大切です。


2.マーケティングが営業の行動計画を策定

マーケティングセクションは既存顧客や新規顧客、市場の動向といった営業リソースやポテンシャルから「どこに攻めるか」の営業戦略を立て、予材(案件やこれから営業をかけていこうという営業予定の材料)を積み上げていきます。

全体の営業戦略と予材を積み上げた後、各営業担当者に予材を分配し、行動計画を作成します。

営業戦略や予材、行動計画は一度立てたら終わりではありません。マーケティングセクションは日頃から営業担当者の活動状況や予材・市場の動向をチェックし、メンテナンスしていきましょう。


3.営業組織の意識改革

MLMを採用することで、これまで自分たちで「どのお客様に営業するか」「何を案内するか」を決めていた営業セクションは、導入当初、やりにくさや窮屈さを感じるかもしれません。

しかしMLMの効果を最大限に発揮するには、営業組織の過度な「自主性」を禁止し、マーケティングセクションが立てた戦略・計画を正しく実行することが重要です。MLMをすることでの営業セクションへのメリットなどを営業担当者レベルまで浸透させ、営業組織の意識を変え協力的な体制をつくっていきましょう。

また、マーケティングセクションの計画どおりに動くことが、「営業担当者の創造性が奪われる」ことや「自主的な行動が制限されて逆効果」になることにはなりません。

「どう話しかければ、お客様が興味を持つのか?」「顧客と信頼関係を構築するには、どのような接し方をすればいいのか」「限られた時間の中で、どんな話題を出せばいいだろう」といったコミュニケーションの戦術では、営業担当者の個人力や創造性が問われるからです。


4.情報システムの構築

経営セクション・マーケティングセクション・営業セクションの3つをつなぐ情報システムを構築します。

情報システムを構築する目的は、リアルタイムで現場(営業セクション)の動きや行動状況を把握すること、そして全体を俯瞰して見ることで問題の特定や戦略の再考の切り口を得ることです。

情報システムを構築する際、大切なポイントは3つ。

(1)使い方がシンプル
(2)全体状況を簡単に集計・確認できる
(3)営業セクションの入力負担が少ない
です。


情報システムと聞くとSFA(営業支援システム)を候補に挙げる会社が多いです。SFAは便利な機能が沢山ついていて、営業担当者のかゆいところに手が届くシステムかもしれません。しかしこの機能を正しく機能させるには、営業担当者が案件の状況を詳細に入力する必要があったりするため、毎日SFAの入力に膨大な時間がかかってしまうのも事実です。

MLMで営業組織の負担が減り営業活動に集中できるようになったのに、SFAの入力で毎日、時間が取られてしまっては本末転倒です。

予材管理では、予材管理クラウドというWEB上のシステムを使って3つのセクションをつなぐことをおすすめしています。シンプルな構成で、1クリックで営業状況を集計・確認できたり、毎日の入力負担が少ないのも特徴です。
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まとめ

組織体制の見直しや強化の方法として、MLM(マーケティング・リーダーシップ・マネジメント)があります。MLMでは組織体制を経営・マーケティング・営業の3つに分け、従来の営業組織が担っていた営業戦略の立案などの「創造」負担をマーケティングセクションに移管し、営業組織が営業活動に集中できる状態を作り組織全体の生産性を改善できます。


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